ブースター・ロケット
ブースター・ロケットって、すごい切ない。
ものすごいパワーを持っていて、本体のロケット、自力で飛び上がれない本体のロケットを大気圏近くまで持ち上げる。
やがて力を使い果たし、本体が宇宙に飛び出すのに十分な高度に達すると、宇宙を見ないまま切り離されて、地上へと落下してゆく。
ブースター・ロケット、そんな感じの存在の人間が、世の中にはいっぱい居る。
力は持っていても不安定で、見た目もパッとしない。
きっと描いた夢や希望はあるんだろうけど、自分の描いたシナリオにたどり着けず、何故だか頭のキレる奴や魅力的な奴を、そいつらの力でなんとかなるところまで支えてあげる。
もう自分には絞り出すものはない、そうなった途端、切り落とされて元の場所に帰って来る。
ブースター・ロケット気質を持つ人間は、自分の境遇を不幸だとは思わない。
頭のキレる奴や魅力的な奴、そいつらに携わっているだけで、分を果たしていると感じるのだろう。
人間は人間たる所以を関わり合いという不安定且つ無計画なものに見出したがる愚かな生物だ。
それが唯一の生き方だと信じている場合も少なからず、故に自分がかわいいのであろう。
自己嫌悪自体そもそも自分がかわいいという理念が膨張してかばいきれなくなった時に現れる訳だし、結局人間は誰でも自分はかわいいのであろう。
でももし、自分という基本的な存在が、何らかの意思のブースター・ロケット的存在だとしたら、それを受諾できるだろうか…