アセトン転写式プリント基板自作。

色々と試行錯誤しましたが、成功率はアベレージで75%を越えたため、その方法について記録します。

まず用紙。

余り色々試してませんが、結果的に現時点ではコーナンにて仕入れた『インクジェット用デジカメ印画紙 厚口タイプ』が最適。
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高価な光沢紙ほど上手くゆきませんでした。

恐らくダイソー等で手に入る光沢紙は使えますが、高級コート紙はダメでした、トナーが紙のほうに定着してしまいます。

恐らくコート層がアセトンと仲良すぎなんでしょうね。

L判出力の理由は、そもそも大判のものは作成しないのと、基板を分けたほうが様々な設計に対して柔軟にアクション出来るし、失敗のリスクを低減出来ると考えているため。

パターンはどのようなものでも良さそうだけど、注意点として、ベタGNDはソリッドではなくハッチで出力する。

恐らく広い範囲のベタはこの方法は不得意っぽいため。

印刷設定は『特厚い濃い細かい』で。

基板の前処理は通常の研磨と脱脂。

今のところ片面基板のみですが、この方法であれば確実に位置合わせが出来るのであれば両面基板でも同様の結果が得られる模様。

アセトン:水 = 1:1。

スポイトで基板に散布し、パターンを印刷した用紙を適度な余白を残して切り取って基板に乗せる。

テープでの仮固定はしてもしなくても結果は同じでした。

基板と用紙をズレないようにしてクッキングシートで挟み、写真用の透明のハードケースに挟んで、更に板で挟んでクランプで加圧。

加圧の具合は高過ぎず低過ぎず。

クッキングシートで挟む理由は、パターンを印刷した紙が思わぬ場所に持って行かれないためです。

例えば、今回であれば写真用のハードケースにサーフェイステンション等で張り付いて悪さをする等のエラーを回避するためです。

この状態で約1時間放置し、ハードケースからクッキングシートごと取り出して最初のとても大事な工程、裏側のレジンコート層を剥がす。
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レジンコート層が無い、裏が普通の厚目の画用紙等の、吸水性のある用紙であれば、その表層を薄く剥がすと良い結果が得られる確率が上がりますが、上手く表層のみを剥離するのは難しいので、裏が吸水性のある用紙ならば無理やり剥がさなくても良いと思います。

ちなみにこのレジンコート層は大変薄いので、なるべく先の鋭利なピンセットで慎重にゆっくりと剥がします。

ベースペーパーを剥がし過ぎると失敗します。

更に注意するのは、このレジンコート層を剥がす際にパターンの面が浮かないよう全身全霊で集中しておく事。

ここで少しでも浮いてしまうと失敗、やり直しです。

失敗するとどうなるかって言いますと、溶けかけのトナー層がビヨーンと伸びて瞬時に乾き、灰のようになるのです。

こうなるとどうやってももう定着しません。

レジンコート層を上手に剥がしたら、再度アセトンを散布し、クッキングシートで挟み、写真用のハードケースに入れて、ハードケースの上から爪や先のある程度硬い棒等でパターン側を擦ります。

この行為の有用性は未確認。

ある程度擦りましたら、今度はハードケースの外側をスコットのショップなんとかかんとか等の不織布ウエス等で挟み、クランプで加圧します。

このクッションを挟んで加圧する行為により、加圧の加減が自然自動調整される効果があるみたいです。

あるみたいですが、クランプで加圧する際は圧力の分散をしっかり設計して下さい。

点加圧してはいけません。

圧力は高くなく低くなく、ぐらいで。

高すぎるとパターンが潰れてしまい、低すぎるとパターンが定着しません。

エスがあっても高圧だとダメです。

この状態で約1時間放置。

いよいよペーパーを剥離しますが、このペーパーが凄いのは、めちゃんこキレイにツルっと取れるところです。

ハードケースから取り出した直後はまだアセトンが残ってますので、少しティッシュペーパー等で拭いた上でアセトンが飛ぶまで数分待機します。

ちなみにこの状態での放置が長いとペーパーと融着したような感じになり失敗します。f:id:outjustice:20230227004817j:image

こちらが完成品。

パターンの太さは一番細い部分で約0.3mmですが、特にエラーは無いです。
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ベタGNDのハッチの線の太さは0.25mmぐらい。

綺麗なもんです。

ちなみに、パターンの転写が成功しているとトナーの表面は光沢になります。
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パターンが艶の無い状態の部分は定着していません。

あと、この方法で転写したパターンは大変デリケートです。

エッチングの際も決してパターンに触れないよう慎重に作業しなくてはいけません。

本日はここまでで体力メーター終わりましたので、エッチングはまた後日。

ちなみにこの基板は、塗装ブースのためのファンを稼働させるための接続基板と、ブース周辺のLED照明のダイナミック点灯制御基板です。

感光基板やらアイロン転写やら色々とやりましたが、アセトン転写の方法も大変試行錯誤した結果割と良い結果が得られるようになりました。

もしかしたらどなた様かの参考になるやも。

 

 

 

早く塗装ブース回りを完成させて、待機中のバイク達を組み立てたいです。